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中学生のうつ病の原因と改善方法

気分障害のひとつである「うつ病」について

「うつ(鬱)」とは、心の状態を指す言葉です。うつ病とは、「うつ」を主症状とする病気のことで、気分障害のひとつです。

気分障害は、大きく分けると「うつ病性障害」と「双極性障害」に分けることが出来ます。

■うつ病性障害

・気分変調性障害
「うつ」の症状は軽い。しかし、その状態が長く続く。大うつ病と比べると少ない。20~35歳に多く見られるのですが、中学生でも発症しない訳ではありません。ただ、中学生くらいで発症した場合、「思春期だから…」「難しい年頃だから…」などと見られ、気分変調性障害と気付かれない場合が少なくありません。

・大うつ病
大うつ病の「大」は、「主な」という意味のメジャーを訳したモノです。大うつ病は、うつ病の典型例で、中学生くらいの場合はイライラが目立つことが多いと言えます。

【大うつ病の症状の特徴】
①抑うつ気分
②興味または喜びの減退
③食欲の減退はたは増加
④不眠または睡眠過多
⑤精神運動性の焦燥や抑止
⑥疲れ易い、または気力の減退
⑦無価値観や罪責感
⑧思考力や集中力の減退または決断困難
⑨自殺念慮や自殺企図

①~⑨のうち、5つまたはそれ以上が同じ2週間の間に存在し、病前の機能からの変化を起こしていています。しかも、これらの症状のうち少なくともひとつは①抑うつ気分か②興味または喜びの減退です。

・双極性障害
双極性障害とは、「うつ(鬱)」と「そう(躁)」を繰り返す病気で、以前は「躁鬱病(そううつびょう)」と呼ばれていました。

現在の医学では、双極性障害の原因を解明できていませんが、概ね「うつ」から始まることが多いと言われています。

人間であれば、気分が一定ということはありません。そのため、一時的に「うつ」のようになることは、誰にでもあります。ただ、そこから抜け出せなかったり、逆に「躁」の状態になったりと、気分の偏りが極端な場合は病的な症状として考える必要が出てきます。ちなみに、精神障害の中で一番「自殺企図」が多い疾患が双極性障害とも言われているため注意が必要です。

うつ病の原因

うつ病になる最大の原因は「ストレス」です。ただ、何かが起きたとき、相当なストレスを感じてしまう人もいれば、それでストレスを感じない人もいます。そのため、原因を突き詰めるのも簡単ではなく、下記の例もごく一部です。

【家庭内】
①両親の不仲
②家族の死
③虐待

【学校】
①学業不振
②転校
③イジメ
④進級

【その他】
①事故遭遇
②災害被害
③生活環境の変化
④事件・事故の目撃

上記のように、うつ病になる原因は様々で、複数が同時に起きている場合もあります。そのため、防ぎようがないことも少なくありません。ただ、どのようなことが原因になりやすいのかを知っておけば、何かが起きた場合、早めに対応することが出来ます。あと、環境の変化が起きると分かっている場合は、子供への影響を出来るだけ少なくするように講じることも必要です。


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うつ病の改善方法

子供の変化に気付いた際、親が素人判断で対応するより、相談すべき機関を利用するべきです。何故なら、対応を間違えて悪化させない方が良いからです。

■親が子供のことで相談できる機関

①小児科・内科
身体的な要因が無ければ、うつを疑い専門医を紹介してもらう。

②児童相談所
子供の問題について、総合的に相談に乗ってもらうことが出来る。

③保健センター
地域密着の機関であり、子育ての不安など相談に乗ってもらえる。

④教育相談機関
教育相談センターなど、呼び方は様々ですが、親も子供も相談に行ける。

⑤精神保健福祉センター
医師やカウンセラーが常勤しており、かなり複雑な相談にも対応してくれる。

■病院での診察について

子供を毎日見ているのは親だけですから、その親が何かおかしいと思えば、何かある可能性があります。ただ、診察でスグに原因を見つけられる訳ではありません。

まず、子供の症状に「うつ」が関係しているのかどうか、もし関係しているのであれば、その原因は何かを探さなければなりません。しかし、専門医でもスグに判断できるものではないため、じっくり時間をかけて探っていくことになります。

従いまして、診察には時間が掛かるモノだと知っておく必要があります。そうでなければ、親が焦ってしまうと、子供に良い影響があるはずはありませんから…。

専門医が面接(診察)を何度も行い、原因になっている病気が分かれば、当然専門の治療を始めることになります。しかし、分からない間は、何度も面接を続けることになります。ちなみに、答えを見つけることが出来なかったとしても、カウンセリングを重ねれば、それ自体が治療にもなります。

あと、診察には、家族からの除法も非常に大切です。子供が正直に話していても、的確に表現できているとは限りません。そのため、親が現在の状態や以前の状態を専門医に伝えることは、専門医が判断する上で非常に有効な情報となります。

うつを治療する3つの方法

うつの治療を大きく分けると、「環境調整」「精神療法」「薬物療法」の3つに分けることが出来ます。

その3つの方法は、それぞれ目的が違うため、専門医が上手く組み合わせて治療を行います。

①環境調整
うつの子供に一番必要なのは休養です。そのため、回復させるための第一歩は何もさせないことです。中学生になると、休むということは勉強やクラブでの遅れにつながるため、休ませることに抵抗があるかも知れません。

しかし、専門医と相談しながら、必要であれば塾やクラブだけでなく、中学校も休ませる必要がある場合もあります。そして、無理に勉強などはさせず、子供に好きなことをさせて、親も子供も焦らないことが大切です。特に、子供に焦りを感じさせると、ストレスが溜まる一方で、うつを改善させることは出来ません。

②精神療法
同じ出来事でも、そのことに対する捉え方は、人によって違います。そのようなモノの考え方は、人それぞれ特有の傾向があり、それが「うつ」を引き起こしている場合が少なくありません。例えば、「少しダメな点があると、全てがダメだと決めつける」「悪いことは過大評価し、良いことは過小評価する」などです。しかし、物ごとの捉え方や考え方を変えることによって、行動や気分の変化を期待することができます。子供自身に物ごとの捉え方の問題点を気付かせて、考え方を整理して、症状を改善させる方法を認知行動療法と言い、うつの子供には有用とされています。

③薬物療法
環境調整だけでは効果が出ない場合、薬の服用を検討することになります。大人のうつ病には、抗うつ薬がよく効きますが、子供のうつも抗うつ薬はよく効きます。その薬は、脳内の神経伝達物質の量や働きを調整することで、症状を和らげる作用があります。薬は、本来の適量を最初から服用する訳ではなく、最初は少量で様子を見て、強い副作用などがなければ、少しずつ服用量を増やしていくことになります。そのため、効果がないために服用量を増加させていっているのではないということを理解しておく必要があります。ちなみに、薬によって違いますが、副作用の例としては、「吐き気」「食欲不振」「めまい」「便秘」などがあり、薬によっては女子の生理が止まることもあります。なお、うつに使われる薬は、「ルボックス」「アナフラニール」「ドグマチール」などがあります。

いずれにしましても、どの方法で治療したとしても、スグにうつ病が改善する訳ではありません。好転したり悪化したりということを繰り返しながら、徐々に良い方向へ進んでいきます。

そのため、症状が良くなったり悪くなったりするたびに、一喜一憂していてはキリがありません。しかし、数ヶ月で悪い状態が目立たなくなってくることが多く、1年以内によくなることがほとんどです。

そのため、焦らずに長期戦だと覚悟して治療に取り組む必要があります。ちなみに、数ヶ月でよくなってきたときに治療をやめてしまうと、再発する可能性が高くなるため注意が必要です。


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